ゴーン・ショック
日産自動車のゴーン会長が、先日逮捕され大変驚きました。容疑は、有価証券報告書の役員報酬の過小記載による金融商品取引法違反でした。有価証券報告書は、上場企業等が事業年度終了後に、会社の各種状況を記載して提出する報告書です。金融商品取引法違反では、一般的には粉飾決算が思いつきますが、今回は会長の役員報酬の虚偽記載についてで、今のところ粉飾決算ではないようです。ただ今後の調査等で、損益計算書の記載まで誤りとなると、財務諸表(決算書)が修正されるかもしれません。
何が問題か?
有価証券報告書を作成する際に、取締役・監査役の役員報酬の総額・人数を、それぞれ記載する必要があります。さらに、年間の報酬額が1億円を超える取締役については、個人別に報酬金額を記載する必要があります。株主にとって、経営者が会社からいくら報酬を得ているか、知ることのできる重要な情報になります。今回は、この役員報酬の開示で、報酬金額が実際より少なく記載されたと問題になっています。
報酬が高すぎると批判を受けるのを回避したかったのか、どのような意図があったのでしょうか。
監査法人の責任!?
有価証券報告書は、監査法人(公認会計士)の監査を受けているため、今回の事件でも監査法人がチェックしているのになぜ?との声もあるようです。監査の際に確認しているはずですが、組織的に隠蔽されると発見は難しく、今回の内部告発で判明となったと思われます。
監査法人の監査証明の対象は有価証券報告書の「経理の状況」に限定されており、今回の役員報酬の記載は対象に含まれません。現在問題となっている記載が保証対象外の部分のため、今のところ今回の件で監査法人の責任を問われると、それは厳しいかなと感じています。
ただ、今後の調査次第で決算書にも誤りがあったとなると、財務諸表を訂正する可能性もあり、そうなると責任を問う声が大きくなるかもしれません。