相続税対策でアパート建設?

地主さんのもとを、建設会社の営業マンが「相続税対策でアパート建設しませんか」と頻繫に訪ねてくると聞きます。新聞等の報道でも、平成27年より相続税の基礎控除が減額され相続税の対象になる人が増えたのに加え、ゼロ金利政策も相まって、アパート建設が活況のようです。

アパート建設を推奨する記事ではありませんので、ぜひ慎重に考えて頂きたいですが、営業マンが言う「アパートを建設すると相続税対策になる」のはなぜか?その仕組みを簡単に、土地と建物に分けて確認してみたいと思います。相続財産の評価が低くなると、相続税の金額も少なくなりますので、土地と建物の評価について記載します。

建物の評価

相続財産の評価で、建物については『固定資産税評価額』で評価します。固定資産税評価額は、取得価格の60~70%程度になると言われています。評価額が取得価格ではなく、固定資産税評価額のため建物の評価が3割程度下がります。また、アパート等の場合、借家権割合(全国一律30%)を控除します。

『建物の評価 = 固定資産税評価額 × (1 – 借家権割合30%)』

そのため1億円かけて建物を建設した場合、相続税の計算では評価額が(3~4割減の)固定資産税評価額約7千万円×(1‐30%)≒5千万円になります。

貸家が建つ土地(貸家建付地)の評価

保有する土地にアパートを建設すると、借家が立つ土地である貸家建付地となり、相続財産評価の際に借地権割合・借家権割合に基づき、減額を行います。これは、借家人の借家権等々があり様々な制約を受けるので、自用地(自分で使う土地)より経済的価値が低くなるのを考慮しているようです。

『 貸家建付地の評価 = 自用地の評価額 ×(1- 借地権割合 × 借家権割合)』

借地権割合は場所によって異なり30~90%で、借家権割合は一律で30%になります。

例えば、1億円の土地の上にアパートを建設、借地権割合が70%で借家権割合が30%だったとします。この場合、「1億円 × ( 1 – 70% × 30% )=7,900万円」と21%評価が下がります。

相続財産の評価額

1億円の土地を持っている人が、銀行から1億円借金をして1億のアパートを建設し、直後相続が発生した場合。土地は借地権割合・借家権割合で減額されるため、上記の通り1億円の土地は7,900万円と評価されます。また、アパートの建物は1億円かけて建設しても、評価上では固定資産税評価額と借家権割合の減額により5,000万円になるとします。一方、銀行からの借金1億円も、負債として相続対象になります。この場合の相続財産の評価額は以下のようになります。

「土地7,900万円 + アパート建物5,000万円 ー 借入金1億 = 2,900万円」

設例の場合では、相続財産1億円の土地だけの場合から、アパートを建築することで大幅減しました。実際には、個別案の件ごとに細かく試算が必要です。また、この他にも「小規模宅地等の特例」を使えば、土地の評価額を更に低減させることも可能です(今回は省略)。

アパートの経営は大丈夫?

営業マンが言う、アパート建設で相続税対策とは上記の通りで、相続財産の評価が下がるので相続税の額を減らすことは可能です。ついつい相続税が安くなるなら我が家もと思ってしまいますが、相続の後も何十年と続くアパート経営が上手くいくかは別問題ですし、借入を伴う場合は借金を返済できるかも注意が必要です。候補地の立地等を考慮して、入居者が集まるか慎重に判断して下さい。

一括借上制度(家賃保証)等もありますが、入居状況が悪いと借上賃料が引き下げられるケースもあるとか。一部では当初の約束と違うと、訴訟に発展しているそうです。「絶対に儲かる」はありませんので、こちらもご注意を。

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※当記時の説明は、一部簡略化して記載しておりますので、ご了承ください。