パートの社会保険の加入拡大の方向

5月29日に、年金改正法が成立しました。経営者の方に影響がありそうな、短時間労働者の厚生年金加入拡大についてご紹介したいと思います。

社会保険の加入要件のおさらい

社会保険完備の会社で働く場合、パートでも社会保険の加入対象になります。

旧来は、以下の2点のどちらかを満たせば、加入と判断されていました。

①年収が130万円以上

勤務時間及び日数が、正社員の4分の3以上であること

2016年10月以降は、改正になり範囲が拡大されました。

週20時間以上の勤務、年収106万円以上など5つの条件を満たしていること
これまでの条件②に加え、以下の5つを満たすパートの人も、社会保険の加入対象になりました。

<5つの条件>
1.週の所定労働時間が20時間以上であること
2.賃金月額が月8.8万円以上(年約106万円以上)であること
3.1年以上の使用されることが見込まれること
4.従業員501名以上(厚生年金の被保険者数)の勤務先で働いていること
5.学生でないこと(※夜間や定時制など、学生でも加入できる場合もある)

改正による範囲拡大

今回の改正の方向性として、現状の勤め先の「従業員数501名以上」を、

2022年10月以降は、「従業員数101人以上」に引き下げ、

2024年10月以降は、「従業員数51人以上」に引き下げるます。

最低賃金が年々上昇する中で、中小企業にとっては、更に社会保険料の負担が増加するおそれがあります。

またこのように、パートの社会保険加入が拡大されると、社会保険料の負担が増えるため、労働時間をセーブする人と、今まで以上に働く人と、二極化するかもしれませんね。

女性や高齢者の労働参画を進めながら、社会保険制度を維持しようとする政府の考えは、うまく進むのでしょうか?